スピリチュアルケアのおはなし

スピリチュアルペインとは?精神的苦痛との違い

スピリチュアルペインという言葉を聞いたことはありますか?スピリチュアルとか、スピリットとかは聞いたことがあるけれど、スピリット(魂)のペイン(痛み)ってどういうこと?って疑問に思いますよね。そこで今日はスピリチュアルペインについてまとめてみました。

スピリチュアルペインとは

私は何のために生まれ、どこへ行くのか・・といった死生観に対する悩みに関する苦痛のこと

WHO(世界保健機構)憲章では「健康」についてこのように定義していました

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

健康とは、肉体的(Physical)、精神的(mental)、社会的(social)にすべてが満たされた状態であり、単に病気がない、弱っていないということを示すのではない。

でも1998年には魂の(spiritual)という言葉をいれて新たに提案しなおされているのです

Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

人間の健康を考える時、肉的的、精神的、社会的、さらにスピリット~魂も満たされている状態が大切であると公に表現しているのですよね(⇒参考:スピリチュアルとは

スピリチュアルペインと精神的苦痛との違い

肉体的苦痛とは?

体のどこかが痛む、思ったように動かせない、食べられない、眠れない、など体の不調に関する苦痛

社会的苦痛とは?

仕事など社会での自分の役割を失ったためにおこる経済的苦痛や社会との関わりが希薄で自分が社会の役に立っていると感じられない、自分が社会に存在している意義を感じられないことによる苦痛

では、精神的苦痛(心の痛み)と霊的苦痛(魂の痛み)はどう違うのでしょうか?

精神的苦痛とは?

寂しさ、怒り、妬み、恨みなどネガティブな感情による苦痛

魂の苦痛~スピリチュアルペインとは

何のために生きているのか?なぜこの地球に生まれたのか?生きるとは何か?なぜ自分が苦痛を味あわなければいけないのか?死んだらどうなるのか?というような死生観の悩みに関する苦痛

終末期に感じるスピリチュアルペイン

看取りの現場で働く現役看護師さんのお話しでは、現代の薬は素晴らしく発達していて、体に対する痛みのコントロールはかなりできるようになっているとのこと。

体の痛みが軽くなるのは素晴らしいことですが、ナースコールが少なくなるかというと、そうではないようで、最も多いのは「淋しい」「不安」という精神的苦痛、そして「このまま目を閉じたら二度と目が開かないのではないか」「意味も無く怖い」「私が何か悪いことをしたのか?これは罰なのか?」「もう良くならないのに、なぜ生きていなければいけないのか?」というスピリチュアルペイン。

この難しい問いについて薬があるわけでもなく、答えがすぐにみつかるわけもなく、肉体的、精神的痛みの波と同じように繰り返し、行き場のない想いを真夜中のナースコールで看護師さんにぶつける、ということが現場では起きているようです。

肉体的苦痛のプロフェッショナルである医師・看護師と、社会的・精神的苦痛のプロフェッショナルである医療ソーシャルワーカーがチームを組んでターミナルケア(終末期医療)に関わるところまでは対応している病院もあるのでしょうが、日本ではスピリチュアルペインの専門家が医療の現場に入ることはまだ少ないようです。

現在、看取りに関わる専門家は宗教家や心理療法士の中でさらにスピリチュアルケアを専門に学んだ方が取り組んでいらっしゃるのだと思いますが、これから自宅で看取る時代になるにあたって、第三者へのスピリチュアルケアをおこなう高度な知識を持つ専門家とはまた別に、自分と自分の家族についてのスピリチュアルペインに向き合う人が増えるべきではないかと私は考えています。

死はいつも生のとなりにあって、遠くの出来事ではないということを肌で感じることで「今を生きる」ことができ、毎日の暮らしがもっと輝きを増していきます。

スピリチュアルペインを癒すには

人がなぜ生きるのかを知っているのは、御本人の魂だけです。まわりがサポートできることは、否定せずに心の声を聴き、そばによりそっていること。特に人生のゴールが目前にせまっている終末期の方には、人生の仕上げともいうべき総まとめの貴重な時間によりそうために、ただひたすらに誠実によりそうことが癒しにつながるのではと考えています。

この大きな課題にも役立つ一つのケアとして、日本エナジーハンド協会を設立しタッチケアの普及も目指しています。誠実によりそうということがどういううことなのか、共感できる仲間とともに学び続けています。

そして特定の宗教に縛られることなく、日常の中から「心」と「魂」について学びを深めることができる「おみくじアロマ」のメソッドもお伝えしています。まずは自分の心の声を聴くところから一歩を始めてみませんか?

●スピリチュアルケア入門~おみくじアロマ・セルフリーディング講座